Swim Like Shinji:アルカトラズ島までを往復する トータル・イマージョン代表 竹内慎司

 2015年9月10日
8月23日にアルカトラズ島往復スイムを泳ぎ、1時間14分で完泳した。8日のレースの反省に基づいて準備をしてきたが、その準備がどのように活かされるかを確認する場となった。

○アルカトラズ島往復スイム Touch n' Goとは
今回のレースは海洋公園からスタートして、アルカトラズ島まで泳ぎ帰ってくるというハードなもので、サンフランシスコ湾のレースとしてはBtoB(ゴールデンゲートブリッジからベイブリッジ、約10km)、アルカトラズ島周回往復スイムに次いで難しいとされている。ただしBtoBは追い潮で泳ぐので距離は長いがスピードは速い。コース取りを考えるとアルカトラズ島往復の方が難しい。

○2週間前のアルカトラズ島レースの反省
最大のミスは「ナビゲーションが不十分であった」ことである。そこで今回は以下を準備・当日の方針とした。

  • 潮位や潮の流れを勉強し、戦略を立てる。
  • 泳ぐときは後方確認して自分の現在位置を知る。
  • 冷静にギアを変えて、速く泳ぐレースペースを作る。

○潮位と潮流
潮位表によると、ゴールデンゲートブリッジの潮位は7:49に満潮を迎える。私が加入したDolphin Clubでは潮位表や潮流表の見方についての詳しい資料を配布しており、それによるとアルカトラズ島では14分遅れ、8:03である。スタート予定時刻から90分を色塗りしている。

一方潮流表もウェブで調べることができる。下のグラフはアルカトラズ島近辺の潮流予測で、Flood(沖合から内部に流れ込む状態)が次第に減り、8:39にSlack(潮のない状態)になることがわかる。

潮流は干満の差によって発生するので、このように30分程度のタイムラグがあることが勉強してわかった。以上より、

  • スタート直後は左から右に流れるFloodだが速度は0.5ノットと比較的穏やか。
  • 次第に流れは弱くなり、ゴール近くでSlackになる。

ということがわかるので、

  • 行きはやや左を目標にする。どの程度左にするかは当日の折り返し船の位置や他の経験者の話で決める。
  • 帰りはほぼまっすぐ。

という基本戦略を立てた。

○スタートから折り返しまで
参加人数は20名足らずで砂浜からスタート。水温は18度程度。水着で参加。
海洋公園内では右に流されることは経験上知っているので、左の目標物に合わせて泳いだが左に行きすぎた。いつもより流れが弱かった。

今回はペースも意識していたので、先頭集団にできるだけ追いつくようにした。水中の手の軌跡をからだに近づけ、スイッチのタイミングを変えることでテンポを上げた。

海洋公園を出てからは、船が島の中央にあると想定して島の左端を目印にして泳ぐ。10分程度泳いだ段階でやや左に流されていることがわかり、島の中央部左にある貯水塔に目標を変更して右寄りに泳いだ。左から右に流される予想だったが、思っていたよりも流れが小さい。

その後は5分おきに後方の高層マンション2棟を見て自分が流されていないかどうか確認した。後ろのビルと前の貯水塔を結び、自分がどの程度離れているかを見るとほとんど変わらない。コース通り泳げていることで安心してスピードを上げた。

島にかなり近づいたものの、折り返し地点近辺にあるはずの船が見あたらず、少しあせる。想定していた場所よりもかなり200m程度左にあったようであるが、この方向修正にかなり手間取った。また島に近づくにつれてこれまでにない冷たさと潮の流れを感じた。局地的に潮の流れが変化することがわかった。ようやく船を見つけてからが非常に長く感じた。船が自分から遠ざかっているよう見えて「船が逃げている!」と思ったが、結果を見ると自分が流されているだけであった。

ついに船に到着してブイにタッチ。この時点で33分。制限時間が45分で、2週間前のレースでは51分かかっていたので制限時間内に到着できるか非常に不安であったが、余裕で折り返すことができた。

○折り返しからゴール
制限時間内に到着できることは確定したので、まっすぐ泳ぐことにさらに意識を高めることにした。サンフランシスコ側は様々な目標物がある。まずは直線距離で目標物となる2棟の高層マンションを目指す。
ところがライフガードから右側に向かって泳げと指示が出た。予定ではもう少し時間がかかって潮の流れが弱くなっているはずだったが、予定より早く折り返し地点に到着したので左に流されていたようである。指さす方向を目指して泳いだが、結果を見るとここで右側に寄りすぎたようである。

その後は3分毎に前後の目標物を見て現在位置を確認した。後方の島の中央部を目標物にしたが、次第に見えにくくなりあいまいになったことは教訓とする。

想定してコースより50m程度右にふくらんだ状態で海洋公園に入る。この後も流されることを想定して右寄りに泳いだが、実際には流れが弱かったので途中でまっすぐ泳いでゴールした。

記録は1時間14分、前半2.12kmで33分、100mペース1分33秒、後半2.09kmで41分、100mペース1分56秒、平均ペース1分44秒であった。

後半は距離が長かったかと思ったが、行きの島付近で流されたことと相殺されて後半の方が距離が短かった。100mペース1分33秒と非常に速いペースで泳げたことは成果であったが、後半は息切れした可能性が高い。

実際に泳いだコースを2週間前と比較する(左が今回、右が前回)と、明らかに改善されてまっすぐ泳げている。前回のスタートと今回の折り返し地点は異なるが、行きのタイムで18分(35%)、帰りのタイムでも10分(20%)速くなった。より正確なコース取りで、泳ぐ距離が短くなったことが速くなった主な原因である。

○今後の課題

  • ペースの配分:後半は前半に比べて24%劣化した。これはライフガードが減り(行きと帰りでばらける)、前後方向確認の頻度を増やしたこともある。ただしテンポが遅くなったことは自覚できたので、テンポが遅くなる前にギアを変えて劣化を抑える必要がある。
  • ライフガードのアドバイスの解釈:ライフガードのアドバイスが「実際に進むべき方向」なのか「目標物にすべき」なのかを判断する必要がある。これまで2回の経験では、「目標にすべき」対象物を指示しており、その方向に進むと行き過ぎることがわかった。自分の泳ぎが潮の流れに強くなっているので、今後はアドバイスの5割程度に方向を弱く修正する。
  • うねりを超えた後の向きの修正:今回は正しいコースを泳いでいる自覚があったので、うねりを超えた後に自分の方向が変わっていることがよくわかった。50cm以上のうねりであればほぼ100%向きが変わる。うねり後には必ずサイティングして方向を確認する必要がある。目標物がなく方向確認ができない伴泳型スイムの場合は要注意である。
  • 潮位表が全てではない:海洋公園内に代表されるように、局地的な潮の流れは発生している。アルカトラズ島付近ではEbb(右から左)の流れがあった。また途中でも何回か想定とは異なる位置に自分がいるときがあった。このときにオーバーリアクションして方向を急に変えるのではなく、潮がどちらに流れているかを確認してから緩い方向転換を行う。目標物自体を変える必要はなさそうである。

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