私はすぐにTIスイムの可能性を認め、その年の大会が終わっていたこともあり、25メートルをひたすら往復するのをやめてバランスと効率を目的にドリルを練習し始めました。各ドリルを丁寧に練習することで、それまでの水泳の習慣をプログラムし直すまでに至りました。ただ問題は、ラクどころか、むしろ今までより大変に感じられたことでした。
TIコーチから離れて数千マイル、それでもこのアスリートはアイアンマンのスイムの距離を倍にしても、バイクとランを短くしても構わないと言います。

私がテリー・ラクリンの「トータル・イマージョン」に出会ったとき、水泳の経験は15年を越えていました。当時私はトライアスリートとして、バイクとランにより多くの時間を注ぐようになった結果直面した水泳の停滞期を打ち破ることのできる、時間効率とエネルギー効率の良いいトレーニング法を模索していました。

私はすぐにTIスイムの可能性を認め、その年の大会が終わっていたこともあり25メートルをひたすら往復するのをやめてバランスと効率を目的にドリルを練習し始めました。各ドリルを丁寧に練習することで、それまでの水泳の習慣をプログラムし直すまでに至りました。ただ問題は、ラクどころか、むしろ今までより大変に感じられたことでした。

何かが抜けているのは確かでしたが、それが何であるのかがどうしてもわかりません。TIコーチのいる惑星の反対側(マレーシア)にいるために、私の誤りを指摘してくれる人はいませんでした。苛立ってドリル練習を放り出し、再びひたすら距離を泳ぐ練習法に戻して新しいストロークをそれになんとか組み込もうと試みました。そんなある日、私は新しい「カンタン・トライアスロン」の本と「Fishlike Freestyle(カンタン・クロールの前に出版された)」と題するビデオをTIのウェブで購入しました。

このビデオが混乱していた私を救ってくれました。本もビデオも秩序だった段階を追ったストロークの完成を基礎にしており、双方ともオリジナルのTIの本よりずっと論理的でわかり易くなっていました。一旦バランスを習得すれば、先進の技術はその場所にすっぽり収まるのを知りました。そしてビデオの中のスイマーがTIでラクに優雅に泳ぐの見ながら、これを目標に集中しようと固く決心しました。ほとんど気がつかないうちに、私はスムーズで効率のいいスイマーへと変貌していました。

TIトライアスロン準備プログラムに沿って練習
やり残しのない様に順番に何度も繰り返して泳いで、数週間ひたすらドリルに集中しました。それから、常に注意深くストロークを数え、できるだけ「静か」にゆっくり泳ぐように心がけて、ドリルとドリルの間に25メートル泳ぐようにしました。

次のステップは、新しくより効率のよいストローク数を維持しながら25メートルを往復するようにし、それから50メートルの往復へと進展していきました。次にストロークの原動力を真に認識するために「ギア」の変換をしたり、同じ力でのストローク数を変化させることへと進みました。このプロセスにより、「ラクに」スピードを出すための自分の可能性を発見することができ、大きな自信へと繋がりました。

次のアイアンマンのレースが近づくにつれ、完全さを求めて大会前に練習プログラム全体を終えるには余りにも時間がないことに気がつきました。「ロングディスタンスレースへの準備」の第16章に概説されているように、距離を伸ばす練習を始めました。100メートルのリピートを泳ぎながら徐々にインターバルでの休息を減らし、大会目前までに3000メートルへと距離を伸ばして行きます。

プログラムを始めて以来これまでは、100メートル以上続けて泳ぐことはありませんでした。そこで心配ではありませんでしたが、海で試してみることにしたのです。全く不快を覚えたり緊張することなく1時間続けて泳ぎ、それから首や肩の痛みを全く感じることなく100k(80マイル)自転車で走りました。ビンゴ!

アイアンマンの水泳は楽しい経験でした。全3.8kmのスイムをとても快適にのんびり泳ぎました。また「快適ゾーン」から外れる必要がないことを知っていたので、大規模なスタートの時でさえも落ち着いていました。結果は予想より遥かに速い1:14で、全く力を消耗していない様でした。上半身の痛みを知らずに180キロメートル自転車をこいで、マラソンの殆どを走りました。

これこそトライアスロンスイムのあるべき姿です。140マイル全体のうちのたったの2.4マイルを占めるだけなのにもかかわらず、多くのアスリート達にとってスイムは、アスリートの(および人間の)泳ぎの非効率と水中での不快さや自信のなさからくるストレスから多大なエネルギーを必要以上に消耗します。TIトレーニング後、初のアイアンマンを終えて、もしスイムの距離が2倍に増え、ランの時間が1時間減ればもっといいのにと思います。

最後に、もし私のようにTIコーチやワークショップにアクセスできないのであれば、DVDやビデオを見ながら練習するのがベストです。あなたを見て評価してくれるトレーニングのパートナーがいれば言うことありませんが、忍耐強く何よりもまずバランスをマスターすることに細心の注意を払えば私のように単独でも確実に達成することができます。

TIプログラムの素晴らしい点は、自己批判的ではない方法でいかに上達するかを示してくれる所にあると思います。少ないストローク数(SPL)を達成することばかりに囚われないようにしましょう。ストローク数は、ドリルを通じて習得した泳ぎの効率を単に測定するものです。エネルギー消費を最も少なくするのが大切なポイントで、これを実現するためにラクに維持できる最少のストローク数を目標にすべきです。ドリルを練習して「決してもがきを練習しない」というモットーを取り入れれば、あなたのSLPは、殆ど試みることなく徐々に自然に減っていくでしょう。一旦基本的な効率のよい動きを身に付ければ、TSME(カンタン・トライアスロン)の第14章から17章までのエクササイズは、更に技術を磨くために殆ど無尽蔵の力を提供してくれるでしょう。この本の内容すべてを消化するまでにはまだまだ長い道のりでしょうが、一掻き一掻きが楽しみです。

英国のサックスホーン演奏者および作曲家であるグレッグ・ライアンズは1980年代はロンドンのジャズシーンの一員でした。過去10年彼は、教えたり、パフォーマンスをしたり、書いたり、またバンドリーダーを務めることにより、ますます力強いジャズシーンを作り出してきたマレーシアに在住しています。彼はまたアイアンマンのトライアスリートであり、東南アジアで開かれる多くのトライアスロン、デュアスロンそしてマラソンに出場しています。現在は自作の新しいCDをプロデュースしており、ウェブサイトで入手可能です。http://www.geocities.com/gregblyons
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